【面接官インタビュー】Salesforceコンサルタント・エンジニアの転職、選考で準備すべきことは

「面接は通過できる人とできない人で、何が違うのか」――多くの求職者が抱くこの疑問に、現場の面接官が本音で答えてくれました。自動車メーカーとスタートアップ、2社で人事を経験し、現在はSalesforceエンジニアとして実務に携わるHさんに、選考の評価軸と、求職者が面接前に準備すべきことを伺います。

ForceBridge株式会社 代表取締役:東島 行輝(Interviewer)
新卒で東証一部上場の独立系SIerに入社し、Salesforce導入・運用保守に従事。Salesforce導入コンサルティング会社では部長職として自社採用やフリーランス・パートナーの採用面談を数多く担当。フリーランス独立を経て2024年ForceBridge株式会社を創業。Salesforce業界歴約10年、採用する側と受ける側の両方を経験した知見をもとに、Salesforce特化の転職支援・フリーランス案件マッチングを行っている。

まずは、ご経歴を教えてください

―― 本日はよろしくお願いします。最初に、これまでのご経歴を簡単に教えていただけますか。

Hさん:これまで2社で人事をやってきました。1社目が自動車メーカーで、新卒採用・中途採用に加えて、そもそもの要員計画まで一通り担当していました。2社目はスタートアップで、事業側を見つつインターン生の採用と中途採用をメインでやっていた形ですね。そして現在は、Salesforceエンジニアとして実際にプロジェクトの現場に入って仕事をしています。

―― 人事とエンジニア、両方の視点をお持ちなんですね。業界がかなり異なりますが、業界を越えて「共通して大事なポイント」はあるのでしょうか。

Hさん:それが、驚くほど共通しているんです。業界が違っても、面接官が見ているところは基本的に変わりません。むしろ今、自分がエンジニアとして現場に立っているからこそ、「面接で見極めるべきこと」と「実際に活躍できる人の条件」が、ぴったり重なるのを実感しています。

面接官は、何を見ているのか

―― ぶっちゃけ、面接官としてどこを見ているんですか。

Hさん:大きく分けると2つです。カルチャーフィットとスキルフィット。この2つを見ています。

―― まずカルチャーフィットから。これはどういうことでしょう。

Hさん:その方が「何を大切にしている人なのか」、それが自分たちの会社が大切にしていることとマッチするか、というところです。

―― なぜそこを確認するんですか。

Hさん:率直に言うと、「入社してもすぐ辞めてしまう可能性がないか」を見たいんですね。せっかく入っていただいても、合わずに早期で離れてしまうのはお互いにとって不幸ですから。

―― もう一方のスキルフィットは。

Hさん:これは「うちで活躍していただけるか」を見るものです。求めている能力や素養を持っているか。ここはハードスキルとソフトスキルに分かれます。

ソフトスキルは「人間性」と「課題解決能力」で見る

―― いま「ソフトスキル」という話が出ましたが、これをさらに分解できると伺いました。

Hさん:はい。ソフトスキルは、大きく「人間性」と「課題解決能力」の2つに分けて見ています。

―― それぞれ、どういう要素ですか。分かりやすく教えてください。

Hさん:ひとつめの人間性は、その人の仕事への向き合い方そのものです。本当に仕事に真剣に向き合う人なのか。結果が出るまで徹底的にやり続けられる人なのか。そして、まわりを巻き込んでリーダーシップを発揮できる人なのか。「どんな人だから、リーダーシップを発揮できるのか」というところを見ています。

Hさん:ふたつめの課題解決能力は、文字どおりです。課題を自分で見つけられるか。そして、その課題を実行してやり切れるか。「課題を見つけて、それを解決できるか」というところですね。

見る軸中身見ているポイント
見る軸中身見ているポイント
人間性仕事への姿勢真剣さ/結果が出るまでやり切る力/リーダーシップ
課題解決能力思考と実行課題を見つける力/実行してやり切る力

どうやって見抜くのか――「深掘り」の正体

―― カルチャーフィットは、具体的にどんな質問から判断するんですか。実体験ベースで聞かせてください。

Hさん:主に、転職の軸・退職理由・自分の長所短所・周囲からどう見られているかといった質問から推察します。

転職の軸では、その人が次の会社に何を求めているのかが見えます。そして、それが退職理由とどうつながっているのか。さらに「その軸の中で、なぜうちの会社を受けに来たのか」。ここまでが一本のロジックとして通っているかを見ているんです。

その一本通ったものと、うちのカルチャーが合っているかどうか。そこで判断します。

―― 周囲からの評価も聞くんですね。

Hさん:そうですね。「周りからどう言われることが多いか」を聞くと、その人の仕事の進め方や向き合い方、人間性が見えてきます。それがうちのカルチャーに合うか、という確認です。

―― スキルフィットの確認方法は。これは業種というより、全体的にどう聞けば確認できるか、という観点で。

Hさん:端的に言うと、「過去の仕事でどんな成果を上げたのか。そして、その成果はなぜ上げられたのか」。ここをひたすら深掘って聞いていきます。

―― なぜ、そこまで深掘るんですか。

Hさん:その人の思考や行動に再現性があるかを確認したいからです。たまたま成果が出たのか、次の会社でも成果を出せる人なのか。深掘りの先にしか、それは見えてこないんです。

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Salesforce職なら、ここを深掘られる

―― Salesforceのような専門職の場合、スキルフィットの深掘りは具体的にどんな質問になりますか。いまHさんご自身が現場にいるからこそ見える部分も含めて。

Hさん:ここはぜひ多くの方に知ってほしいところです。役割が上流でも開発でも、結局は共通して聞いていることが多いので、まとめてお話しします。実際に自分が現場で「この人と働きたい」と思う条件とも重なります。

① 要件定義をどう進めてきたか

「お客様の要望をどうやって要件に落とし込んだのか」を聞きます。言われたとおりに作っただけなのか、それとも、お客様自身も気づいていなかった本当の課題を引き出して設計したのか。ここでその人の思考の深さが出ます。要望の裏にある業務課題まで掘り下げて、優先順位をつけて整理できる人は強いですね。

② 開発工程で進捗が遅れたとき、どう対応したか

開発は計画どおりに進まないのが当たり前です。だからこそ「遅れが出たときにどうしたか」を必ず聞きます。遅れを早い段階で察知して声を上げられたか。原因が自分の見積もりの甘さなのか、仕様変更なのか、技術的な詰まりなのかを切り分けられたか。そのうえで、タスクの組み替え・優先順位の見直し・周囲への相談といった具体的なリカバリーを打てたか。「気合いで巻きました」ではなく、論理的にどう立て直したかを聞きたいんです。ここは、まさに課題解決能力が出る質問ですね。

③ メンバーをフォローした経験/マネジメント経験

「開発の中で、他のメンバーをフォローした経験はありますか」。これは役職に関係なく聞きます。詰まっている後輩のコードを見てあげた、レビューで丁寧にフィードバックした、自分のタスクが終わったらチーム全体の進捗を気にかけた――そういう動きができる人は、人間性の面でも高く評価します。マネジメント経験がある方には、「何名くらいをマネジメントしてきたか」「メンバー側の進捗が遅れたとき、どう対処したか」まで踏み込みます。見たいのは人数の多さではなく、ただ催促したのか、原因をヒアリングして一緒に解決策を考えたのか、場合によっては自分でタスクを巻き取る判断ができたのか。メンバーの成長と納期、その両方をどう両立させようとしたかに、その人のマネジメントの質が表れます。

④ リモート環境でのコミュニケーションの取り方

いまはリモートやハイブリッドの現場が当たり前なので、ここも必ず聞きます。「リモート下で、メンバーやお客様とどうコミュニケーションを取っていたか」。対面なら自然に拾えていた「ちょっとした詰まり」や「なんとなくの雰囲気」が、リモートだと見えなくなります。それに対して、定例の持ち方を工夫した、Slack等のチャットツールでこまめに状況共有した、テキストで伝わらないことは早めに口頭に切り替えた――そういう自分なりの工夫を持っている人は、どんな現場でも立ち上がりが早いです。Salesforceの開発はチームで進めることがほとんどなので、ここは実務の成否に直結します。

⑤ お客様とのトラブルにどう対処したか

これは私が特に重視する質問です。「お客様とトラブルになったとき、どう対処したか」。プロジェクトは必ずどこかで揉めます。仕様の認識がずれた、納期が間に合わない、想定外の不具合が出た――そういう局面で、その人がどう動いたか。逃げずに矢面に立って、原因を整理して、相手の納得を得ながら着地させられたか。ここに、その人の人間性と課題解決能力の両方が一気に出るんです。

⑥ なぜその成果を出せたのか

最後はどの役割でも共通です。「うまくいきました」で終わらせず、「なぜうまくいったのか」を本人の言葉で説明できるか。ここが再現性の核心です。

―― かなり具体的ですね。トラブルや遅れの話を重視するのは意外でした。

Hさん:むしろ、順調だった案件の話より雄弁なんですよ。きれいに進んだプロジェクトは誰が担当しても似た結果になりがちですが、トラブルや遅延への対応はその人の地力がそのまま出ます。だから私は、あえて「うまくいかなかったとき」を聞きます。現場で一緒に修羅場をくぐれる人かどうかは、結局そこに表れますから。

「この人は合わないかも」と感じる瞬間

―― 逆に、求職者側で『合っていない』と感じるのはどんな方ですか。

Hさん:準備ができていない方ですね。具体的には、深掘りの質問に対して端的に答えられない方です。

ボリュームのある質問に答えられないということは、おそらく過去の自分の経験を深く振り返ってこなかった、転職理由も深く考えずに面接に来ている、ということ。それが伝わってしまうと、率直に残念に感じてしまいます。

―― つまり、能力以前に「準備」で差がつくと。

Hさん:そうなんです。準備さえしていれば防げる落ち方が、確実にあります。

「準備不足」で落ちるのは、もったいない。Salesforce専門エージェントが、面接前の整理を一緒に進めます。

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面接前に準備すべき、2つの問い

―― では、求職者はどんな整理をして臨むべきでしょうか。心構えも含めて教えてください。

Hさん:面接の準備としてやっていただきたいのは、大きく2セットです。

ひとつは「転職の軸まわり」。

  • なぜ転職するのか
  • 次の転職先に求めることは何か
  • その「求めること」と、受ける企業がなぜ合致しているのか

もうひとつは「成果まわり」。

  • 過去に成し遂げたことは何か
  • それはどんな行動をしたから成し遂げられたのか
  • その行動ができたのはなぜか
  • なぜ、その行動が次の会社でもできると言えるのか

エンジニアやSEの方は、ここに加えて「進捗が遅れたときの対応」「メンバーをフォロー/マネジメントした経験」「リモートでのコミュニケーションの工夫」を、具体的なエピソードで語れるように整理しておくと盤石です。

―― かなり深いところまで言語化が必要なんですね。

Hさん:はい。でも、これができている人は強いです。逆に言えば、ここが面接の合否を分けると言ってもいい。

Salesforce業界に置き換えると

―― この2軸をSalesforce転職に当てはめると、どう整理できますか。

Hさん:カルチャーフィットは、会社によって大切にする価値観が異なる領域です。だからこそ、まず「自分自身の素養」を深掘りして、その会社と本当にマッチするかを見極める。ここは本人次第の部分が大きいですね。

Hさん:スキルフィットは、より具体的に語れます。

  • 要件定義でどんな課題に向き合い、どう進めて、何を実現したのか
  • 開発で遅れが出たときに、どうリカバリーしたのか
  • メンバーをどうフォローし、リモートでどうチームを動かしたのか
  • Salesforceのどの製品を軸に、どんな成果を出したのか

ここを解像度高く語れるかどうかが効いてきます。「Salesforceを触っていました」では弱い。「どの製品で、どんな課題を、どう解決したか」まで言える人が評価されます。

―― 製品名まで具体的に、ということですね。

Hさん:そうです。Sales Cloud、Agentforce、Data Cloud……自分が何を軸に、どんな価値を出したのか。そこまで言語化できると、面接官には「再現性のある人だ」と伝わります。現場で実際に使われている技術だからこそ、ここは具体的であればあるほど刺さります。

最後に――「一人で抱えないでほしい」

―― 準備が大事、というのはよく分かりました。ただ、自分一人で整理するのは難しそうです。

Hさん:おっしゃる通りです。正直、自分一人で整理するのには限界があります。 だからこそ、自分が希望する職種に強いエージェントに付き合ってもらって、一緒に整理していくのがいいと思います。

その業界に詳しい第三者の視点が入ると、自分では気づかなかった強みや、ロジックの穴が見えてくる。仕上がりが全然変わります。

―― 読者に向けて、最後にメッセージをお願いします。

Hさん:転職は、人生にとって大きな決断です。だからこそ、その業界に本当に詳しい、信頼できるエージェントに話を聞くべきだと思います。後悔のないように、いろいろな方に相談して、いろいろなエージェントの話を聞いてみてください。

―― 本日はありがとうございました。

まずは「職務経歴書」から、勝てる準備を

面接の準備は、職務経歴書から始まります。Hさんが繰り返し語った「再現性のあるストーリー」。それが伝わる書き方ができていれば、書類でも面接でも評価は変わります。

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